ダビデの星（六芒星）とは？ – その背景を知る

イスラエルの国旗に描かれた六芒星、通称「ダビデの星」。見た目からすれば、簡単に「星」と思われがちですが、実はその意味と歴史には意外な誤解が隠れています。このシンボルの起源や、ダビデ王との関連について正確に理解している人は少ないかもしれません。今回は、その誤解を解き、ダビデの星がどのようにしてユダヤの象徴となったのかを詳しく掘り下げていきます。

ダビデの星は「盾」を意味する

よく知られる通り、イスラエルの国旗には六芒星が描かれていますが、これが「ダビデの星」だと言われると、すぐに「星」と連想してしまいますよね。しかし、実は「ダビデの星」の本来の意味は「ダビデの盾」です。この六芒星（ヘブライ語で「マゲン・ダビド」）は、ダビデ王の盾を象徴しているのです。

そう言われると、少し驚きますよね。六芒星の形状が星のように見えることから、日本では一般的に「ダビデの星」と呼ばれていますが、本来は「盾」を意味しています。

ダビデの星とダビデ王の関係

「ダビデの星」という名称から、ダビデ王が実際にこのシンボルを使っていたと考えがちですが、実はそうではありません。歴史的な記録には、ダビデ王が六芒星の盾を実際に使用した証拠はありません。六芒星は、後世のユダヤ社会で作られた象徴なのです。ダビデは数々の危機的な状況を乗り越え、その度に神の助けを感じていました。彼自身も「詩篇」の中で、「神こそ････寄り頼む者の盾である」（詩篇18篇30節）と、神の守護を賛美しています。盾は、神の守護そのものであり、ユダヤ教においてはその守りの象徴とされています。

ここで気になるのは、「ダビデ王とこのシンボルはどんな関係があるのか？」という点です。実は、このシンボルがダビデ王に由来するとされるようになったのは、中世のユダヤ人社会でのこと。ダビデ王の名前にちなんだものとして、彼の盾を象徴する形で六芒星が使われ始めたのです。

六芒星の由来 – 17世紀の伝承

ダビデの星がなぜユダヤのシンボルとして広まったのか。その起源を探ると、17世紀のヨーロッパにたどり着きます。ある説によれば、ダビデ王の名前の最初と最後の「D」を図案化して、二つの三角形を組み合わせる形で六芒星が作られたと言われています。この考え方が、ユダヤ人の旗やシンボルとして定着したのです。

このように、六芒星はダビデ王の伝説や名前にちなんで作られたものですが、実際にダビデ王が使用していた盾の形状である証拠はありません。あくまで後世の伝承や象徴として広まったものであり、ダビデ王がそのシンボルを使っていたわけではないのです。

ユダヤの象徴としての六芒星

六芒星がユダヤ人の象徴として使われるようになったのは、中世以降のことです。実際、古代ユダヤ教の代表的なシンボルは、七枝の燭台（メノラー）であり、六芒星はそれに代わる新しいシンボルとして使用されるようになったのです。中世のユダヤ人社会では、この六芒星をユダヤの象徴として採用し、19世紀のシオニズム運動を経て、イスラエルの国旗に正式に採用されることとなりました。

その意味では、六芒星は古代から使われていたものではなく、ユダヤ人の歴史の中で近代になってから重要な象徴として登場したと言えるのです。

まとめ – ダビデの星の誤解を解く

ダビデの星、またの名を六芒星は、実はダビデ王が使っていた「盾」を象徴するものであり、星そのものを意味しているわけではありません。六芒星がユダヤの象徴となったのは中世以降であり、ダビデ王と直接的な関係はありません。このシンボルが広まった背景には、ユダヤ社会の中でダビデ王の名前を基にした伝説や象徴が重要な役割を果たしてきたことが挙げられます。